私と家守

家守が出る程度の田舎、というと人はどういう風景を想像するのでしょうか。

私は風呂に入る時に、必ず脱いだ下着を浴室の入り口に敷きます。たとえバスマットが敷いてあったとしても、家に私以外の他人がいる以上、私が最後に入る順になったとしても、です。

濡れたバスマットは、結局濡れた足で踏みしめるのだから関係がない、といえばそうなのですが、一つの入浴の前の儀式みたいなものです。

もう一つ、儀式といえば、浴室内で体を完全に拭きあげ、浴室から出るとすぐに服を着ることです。もちろんバスタオルもそこで使用します。

それは脱衣所の鏡が湯気で曇るのが嫌だからです。

そのために、浴室内の窓を開けて身体を拭くのですが(防犯に関しては抜かりなく)、手をかけた窓枠、すりガラスの向こうに、家守が二匹いました。

もつれ合い、ケンカしているようでした一方が他方の首根っこを加え、加えられている方は逃れようと、必死にもがいていました。

最初見た時は、すりガラスの効果で、二匹が一匹に見え、大きなクモか何かがいる、と仰天したのですが、よくよくみると家守で安心しました。家守で安心するのも少し違う気がしますが。

ぢっとその勝負がつくか、体が完全に乾ききるかのどちらかが達成されるまで眺めていましたが、体も乾ききらず、勝負もつきそうになかったので、浴室をでました。

バスマットの上に敷いている下着にくっきりと足跡をつけて、丹念に体を拭きあげた後もう一度浴室内に入り、勝負の結末を観察しました。

どうやら勝負はどちらかの遁走で終わったようで、残った一匹は、加えていたやつか、やられていたやつか。

勝負の余韻に浸っていたのか(余韻、なんてものがあればですけれど)、はたまた通り魔的な勝負に茫然自失としていたのか、真相はわかりません。

家守がでた、それだけの話です。

今日は豚カツと筍の天ぷら、炊き込みご飯を作りました。